住宅ローンが残っている家を売って住み替えたい|売却・購入の順番と注意点を宅建士が解説

「住宅ローンがまだ残っているけれど、家を売って新しい家に住み替えることはできますか?」

住み替えをご検討されているお客様から、このようなご相談をいただくことがあります。

結論からお伝えすると、住宅ローンが残っている家でも、売却して新しい家へ住み替えることは可能です。

ただし、住宅ローンが残っている場合は、

「今の家はいくらで売れるのか」

だけでなく、

・売却代金で現在の住宅ローンを完済できるのか
・売却と購入のどちらを先にするのか
・新しい家はいくらまで購入できるのか

を最初に整理することが大切です。

私は不動産業界に30年以上携わり、現在も上尾市・桶川市・北本市を中心に、住宅の購入や売却、住宅ローンのご相談をお受けしています。

今回は、住宅ローンが残っている家から住み替える場合の流れと、失敗しないために確認しておきたいポイントを解説します。

■まず確認するのは「今の家を売ったらいくら残るのか」

住み替えを考えたら、新しい家を探す前に確認しておきたいことがあります。

それが、

現在の住宅ローン残高と、今の家の売却予想価格です。

例えば、

・住宅ローン残高 2,000万円
・売却予想価格 3,000万円

だったとします。

単純に考えると1,000万円の差がありますが、この1,000万円がそのまま手元に残るわけではありません。

売却時には、

・仲介手数料
・抵当権抹消などの登記費用
・印紙税
・その他、売却に必要となる費用

などが発生する場合があります。

そのため、

売却予想価格 − 住宅ローン残高 − 売却諸費用 = 売却後の手残り額

という考え方で確認します。

この手残り額が、新しい家の購入資金や住宅ローンの計画にも関係してきます。

■住宅ローンが残っていても家は売却できる?

住宅ローンを利用して購入した家には、一般的に金融機関の抵当権が設定されています。

通常の不動産売却では、現在の住宅ローンを完済して抵当権を抹消したうえで、買主へ引き渡します。

ただし、売却する前に自己資金だけで住宅ローンを全額返済しておかなければならない、ということではありません。

一般的には、売却の決済日に買主から受け取った売却代金を住宅ローンの返済に充て、ローンを完済して抵当権を抹消します。

そのため、住宅ローンが残っていること自体が、売却できない理由になるわけではありません。

■売却価格より住宅ローン残高の方が多い場合は注意

問題になるのは、

売却代金だけでは住宅ローンを完済できない場合です。

例えば、

・住宅ローン残高 3,000万円
・売却価格 2,700万円

であれば、300万円不足します。

実際には売却諸費用も考える必要がありますので、不足額はさらに大きくなる可能性があります。

不足する金額を自己資金などで補って住宅ローンを完済できれば、通常の売却が可能な場合があります。

反対に、不足額を用意できない場合には、通常の方法での売却が難しくなるため、金融機関への相談などが必要になります。

だからこそ住み替えでは、新しい家を探す前に、現在の住宅ローン残高と現実的な売却価格を確認することが重要です。

■住み替えは「売却先行」と「購入先行」の2つ

住宅ローンが残っている状態で住み替える場合、ここが非常に重要です。

大きく分けると、

① 今の家を先に売る「売却先行」

② 新しい家を先に買う「購入先行」

の2つの方法があります。

どちらが正解というわけではありません。

住宅ローン残高、売却予想価格、年収、自己資金、新居の購入価格などによって判断します。

■① 売却先行とは?

現在の家を先に売却してから、新しい家を購入する方法です。

メリット

今の家が実際にいくらで売れたのかが確定してから新居を購入できるため、資金計画を立てやすいのが大きなメリットです。

住宅ローンを完済したあと、手元にいくら残るのかも明確になります。

そのため、新しい家にいくらまで使えるのかを判断しやすくなります。

デメリット

現在の家の引渡しまでに新居が見つからなければ、一時的な仮住まいが必要になる可能性があります。

その場合、

・仮住まいの家賃
・引っ越し費用
・荷物の保管費用

などが余分にかかることもあります。

■② 購入先行とは?

新しい家を先に購入して、その後に現在の家を売却する方法です。

メリット

一番のメリットは、気に入った新居を見つけたタイミングで購入しやすいことです。

また、先に新居へ引っ越してから現在の家を売却できれば、仮住まいをせずに住み替えられる場合があります。

空き家になった現在の家は、室内を見てもらいやすくなるというメリットもあります。

デメリット

注意したいのは資金面です。

現在の家が売れるまで、

今の家の住宅ローンと、新しい家の住宅ローンの負担が重なる可能性があります。

また、

「3,000万円くらいで売れると思っていたのに、実際には2,700万円でなければ売れなかった」

となれば、新居購入時に考えていた資金計画が変わってしまいます。

購入先行の場合は特に、現在の家が想定より安くなった場合まで考えて資金計画を立てることが重要です。

■では、売却先行と購入先行、どちらがいい?

これはお客様によって違います。

例えば、

住宅ローン残高が多く、今の家を売却した金額を新居の購入資金に使いたい

という場合は、売却先行の方が資金計画を立てやすいケースがあります。

一方、

自己資金に余裕があり、住宅ローンの審査上も問題がなく、希望条件に合う新居を逃したくない

という場合には、購入先行を検討できることもあります。

大切なのは、

「どちらが一般的におすすめか」ではなく、「自分の場合はどちらが安全なのか」

を確認することです。

■住み替えでおすすめする基本的な流れ

住宅ローンが残っている場合、私は次のような順番で整理することをおすすめします。

① 現在の住宅ローン残高を確認する

まず金融機関の返済予定表などで、現在の残高を確認します。

② 現在の家を査定する

いくらで「売り出せるか」だけではなく、現在の市場で現実的にどのくらいで「売れそうか」を確認します。

査定価格がどのように決まるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「不動産の査定額ってどう決まる?会社によって違う理由も解説」

③ 売却後の手残り額を計算する

住宅ローン残高と売却諸費用を差し引き、売却後にいくら残りそうなのか確認します。

売却時にどのような費用がかかるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「不動産売却にかかる費用はいくら?事前に知っておきたい主な費用」

④ 新居の購入予算を決める

年収だけでなく、現在の住宅ローン、売却後の手残り、自己資金などを踏まえて考えます。

⑤ 新しい住宅ローンの事前審査をする

購入できる金額の目安を確認します。

現在の住宅ローンが残っていることも金融機関へ伝えたうえで、住み替えを前提として相談することが大切です。

⑥ 売却先行・購入先行を決める

ここまで数字を整理したうえで、どちらで進めるか判断します。

⑦ 売却活動と新居探しのスケジュールを調整する

売却と購入を別々に考えず、契約・決済・引渡し・引っ越しまで含めてスケジュールを組みます。

■住み替えで特に気を付けたい5つのこと

①「査定額=売れる価格」と考えない

査定価格が高かったからといって、その価格で必ず売却できるわけではありません。

特に売却代金を新居購入の資金計画に組み込む場合は、査定額だけで判断せず、その価格で売れる根拠があるかを確認することが重要です。

査定価格を見るときの注意点については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「家の査定価格が高い不動産会社を選んで大丈夫?売却査定の見方を宅建士が解説」

② 新居を先に契約する場合は慎重に

気に入った物件が見つかると、

「先に新居を契約してしまいたい」

と思うこともあるでしょう。

しかし、現在の家が予定どおり売れなかった場合でも新居を購入できる資金計画なのか、契約前に確認する必要があります。

③ 二重の住宅ローン負担を確認する

購入先行の場合は、現在の家が売却できるまで二重の住宅ローン負担が発生する可能性があります。

「何か月なら大丈夫か」まで具体的に確認しておくことをおすすめします。

④ 売却と購入の引渡し日を調整する

住み替えでは、

今の家を引き渡す日と、新居の引渡しを受ける日

の調整も重要です。

日程が合わなければ、仮住まいや引っ越しが2回必要になる場合があります。

⑤ 売却・購入・住宅ローンを別々に考えない

住み替えでは、

「家を売る」「家を買う」「住宅ローンを組む」

という3つを一つの計画として考えることが大切です。

どれか一つだけ先に進めてしまうと、あとからスケジュールや資金計画が合わなくなる可能性があります。

■実際のご相談ではここまで確認します

スマイノコト不動産では、住み替えのご相談をいただいた場合、単に現在の家を査定するだけではありません。

・現在の住宅ローン残高
・現在の家の売却予想価格
・売却に必要な費用
・売却後の手残り額
・新居の希望価格
・自己資金
・新しい住宅ローン
・売却と購入のタイミング

などを一緒に整理します。

住み替えの場合、

「いくらで売れるか」と「いくらの家を買えるか」は別々の話ではありません。

現在の家を売ったあとにいくら残るのか。

その資金を使って、新しい住宅ローンを無理なく返済できるのか。

そこまで確認してから新居探しを始めることが、安心して住み替えるためには大切だと考えています。

■よくある質問

Q. 住宅ローンが残っていても、新しい住宅ローンの事前審査はできますか?

A. 可能なケースがあります。ただし、現在の住宅ローン残高や年収、新居の購入価格、現在の家を売却する予定などによって審査内容は変わります。

住み替えであることを金融機関に伝えて相談することが大切です。

Q. 今の家が売れる前に新しい家を契約しても大丈夫ですか?

A. 資金計画や住宅ローンの審査状況によっては可能ですが、慎重に判断する必要があります。

現在の家が想定価格で売れなかった場合や、売却まで時間がかかった場合でも新居を購入できるか確認してから進めることをおすすめします。

Q. 売却と購入を同じ日にできますか?

A. 条件が整えば、売却と購入の決済・引渡しのタイミングを近づけたり、同日に調整したりできるケースもあります。

ただし、買主・売主・金融機関など関係者が多いため、早めのスケジュール調整が必要です。

Q. まず家を探すのと、査定をするのはどちらが先ですか?

A. 住宅ローンが残っている場合は、まず現在の住宅ローン残高と自宅の売却予想価格を確認することをおすすめします。

そのうえで新居の購入予算を決めた方が、無理のない物件探しがしやすくなります。

■まとめ

住宅ローンが残っている家からの住み替えで重要なのは、

新しい家を探す前に、現在の家を売ったらどうなるのかを確認することです。

まず、

・住宅ローン残高
・現在の家の売却予想価格
・売却諸費用
・売却後の手残り額
・新居の購入予算
・新しい住宅ローン

を整理します。

そのうえで、

「売却先行にするのか、購入先行にするのか」

を決めていきます。

住み替えは、売却だけ、購入だけを考えるよりも、売却・購入・住宅ローンを一つの計画として考えることが大切です。

スマイノコト不動産では、上尾市・桶川市・北本市を中心に、さいたま市・伊奈町など近隣エリアの住み替え相談もお受けしています。

「住宅ローンが残っているけれど住み替えできる?」

「今の家を先に売るべき?」

「先に気に入った新築を買っても大丈夫?」

「今の家を売ったら、いくら手元に残る?」

といった段階からでも大丈夫です。

現在の家の売却から新居の購入、住宅ローンまでまとめてご相談いただけます。

■この記事を書いた人

森戸 義浩(もりと よしひろ)

スマイノコト株式会社 代表
宅地建物取引士

不動産業界30年以上。上尾市・桶川市・さいたま市を中心に、新築住宅の購入サポートと不動産売却を専門に活動。売却査定だけでなく、住宅ローンや住み替えの資金計画まで、お客様一人ひとりの状況に合わせてサポートしています。

森戸 義浩

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