家の売却を考えて、複数の不動産会社に査定を依頼すると、
「A社は2,800万円、B社は3,000万円、C社は3,300万円」
というように、会社によって査定価格が違うことがあります。
そうなると、
「一番高く査定してくれた会社にお願いした方が得なのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、査定価格が一番高い不動産会社を選べば、一番高く売れるとは限りません。
今回は、不動産業界に約30年携わり、上尾市・桶川市・さいたま市を中心に売買のご相談をお受けしてきた宅建士・森戸が、不動産会社の査定価格を見るときに知っておいていただきたいポイントを解説します。
■結論:査定価格の「高さ」より「なぜその価格なのか」が大切です
不動産会社から査定価格を提示されたとき、私が一番確認していただきたいのは、
「なぜ、この価格で売れると考えたのか」
という根拠です。
査定価格は、不動産会社がその金額で買い取ってくれる価格ではありません。
あくまで、
「このくらいの価格で売却できるのではないか」
と不動産会社が予想した価格です。
そのため、不動産会社によって査定価格に差が出ることがあります。
大切なのは数字の大きさだけを見るのではなく、
・近隣で実際に売れた物件はいくらだったのか
・現在販売されている競合物件はいくらなのか
・土地や建物の状態はどう評価されているのか
・その価格で売り出した場合、どのくらいの期間を想定しているのか
などを確認することです。
■査定価格と売出価格と成約価格は違います
不動産売却では、
「査定価格」「売出価格」「成約価格」
を分けて考える必要があります。
査定価格は、不動産会社が「このくらいで売却できそう」と予想した価格。
売出価格は、実際に広告に掲載して販売を始める価格。
成約価格は、最終的に買主様との間で売買契約が成立した価格です。
例えば、不動産会社から3,000万円という査定価格が提示されたとしても、必ず3,000万円で売れるわけではありません。
売主様のご希望によっては3,180万円から販売を始めることもありますし、反対に早期売却を優先して2,980万円から始めることもあります。
つまり、
査定価格は「売却価格を決めるための材料の一つ」
と考えていただくのがよいと思います。
■なぜ不動産会社によって査定価格が違うのでしょうか?
同じ家を見ているのに査定価格が違うと、
「不動産会社によって相場が違うの?」
と思われるかもしれません。
実際には、参考にする成約事例や、物件の特徴をどう評価するかによって査定価格に差が出ます。
例えば戸建住宅であれば、
・駅からの距離
・土地の広さや形
・前面道路
・日当たり
・築年数
・建物の状態
・駐車できる台数
・周辺の販売物件
など、さまざまな要素があります。
マンションであれば、さらに階数や向き、眺望、管理状態なども影響します。
単純に「同じ地域で同じくらいの広さだから同じ価格」とはいきません。
■一番高い査定価格を提示した会社に依頼してはいけない?
高い査定価格を提示した会社が悪い、ということではありません。
しっかりした根拠があり、その価格で売却できる可能性があると判断しているのであれば、もちろん選択肢になります。
ただし、
「他社より査定価格が高いから」という理由だけで不動産会社を決めることはおすすめしません。
例えば、
A社 2,800万円
B社 2,900万円
C社 3,400万円
という査定結果だった場合。
C社だけが大きく高ければ、
「なぜ3,400万円なのですか?」
と聞いてみてください。
そこで具体的な成約事例や物件の評価、販売方法などについて納得できる説明があるかどうかが重要です。
「まずは高く出してみましょう」
というだけであれば、その価格が本当に適正なのかを一度考えた方がよいでしょう。
■高く売り出せば、高く売れるとは限りません
売主様としては、少しでも高く売りたいと思われるのが当然です。
私も売却をお任せいただく以上、できるだけ良い条件で売却したいと考えます。
ただし、
「高く売りたい」と「高く売り出す」は同じではありません。
相場から大きく離れた価格で販売を始めると、購入を検討している方から、
「この物件は少し高いな」
と最初から候補から外されてしまうことがあります。
その状態が長く続いてから価格を下げても、
「ずっと売れていない物件だけど、何かあるのかな?」
と思われてしまう場合もあります。
だからこそ、売出価格を決めるときには、
「いくらで売りたいか」だけでなく、「買う側からこの価格がどう見えるか」
という視点も大切です。
■早く売りたい場合と、時間をかけても高く売りたい場合では価格設定が変わります
売出価格には、すべての売主様に共通する一つの正解があるわけではありません。
例えば、
「住み替え先が決まっているので、できれば3か月以内に売りたい」
という方と、
「急いでいないので、時間がかかってもできるだけ高く売りたい」
という方では、販売戦略が変わります。
早期売却を優先するのであれば、購入希望者から見て魅力のある価格から販売を始める方法があります。
一方、売却を急いでいないのであれば、少し高めの価格から反応を確認する方法もあります。
ただし、その場合も、
「反響がなかったら、いつ価格を見直すのか」
まで最初に考えておくことが重要です。
■実際の売却相談でも「査定価格だけでは決められない」と感じます
先日も売却のご相談をいただいた物件について、周辺の成約事例や現在販売されている物件などを確認しながら査定を行いました。
さらに、その地域で実際に売却を行っている不動産会社にも地域の相場感を確認しました。
すると、資料上の数字だけでは分からない、
「この条件の物件は売却に時間がかかりやすい」
という現場での意見もありました。
そこで、
少し価格を抑えて比較的短期間での売却を目指すのか。
それとも、
時間がかかる可能性を理解したうえで、少し高めから販売して購入者を待つのか。
それぞれの考え方を売主様にお伝えし、検討していただくことにしました。
私は、これが不動産査定では大切だと考えています。
単に、
「あなたの家は○○万円です」
と数字だけを提示するのではなく、
その価格になった理由と、その価格で売り出した場合にどのような販売になる可能性があるのかまで説明すること。
そこまで含めて査定だと思っています。
■スマイノコト不動産では「高い査定価格を出すこと」を目的にしていません
スマイノコト不動産では、上尾市・桶川市・さいたま市を中心に不動産売却のご相談をお受けしています。
査定をご依頼いただいたからといって、できるだけ高い査定価格を提示して売却を任せていただくことを目的にはしていません。
周辺の成約事例や現在の販売状況、物件の特徴などを確認し、
「なぜこの査定価格なのか」
をできるだけ分かりやすくお伝えすることを大切にしています。
また当社では、普段から住宅を購入されるお客様のご案内も行っています。
そのため、
「この価格なら購入を検討する方はどう感じるか」
「どの部分を購入希望者が気にする可能性があるか」
という買う側の視点も含めて売却方法を考えます。
査定価格を聞いたからといって、その価格で売り出さなければならないわけではありません。
売主様のご希望や売却時期を伺いながら、一緒に売出価格を考えていきます。
■不動産会社を選ぶときに聞いてみてください
複数の不動産会社から査定を取った場合は、査定価格だけを比較するのではなく、担当者に次のようなことを聞いてみてください。
「この査定価格になった根拠は何ですか?」
「近くでは、実際にいくらで売れていますか?」
「この価格で売り出したら、どのくらいの期間を想定していますか?」
「反響がなかった場合は、どうしますか?」
こうした質問に対して、具体的に説明してくれるかどうか。
それも不動産会社を選ぶ一つの判断材料になると思います。
■よくある質問
Q. 査定価格が一番高い会社に依頼しても大丈夫ですか?
A. 高いこと自体に問題があるわけではありません。ただし、なぜその査定価格になったのか、根拠を確認することをおすすめします。査定価格と実際に売れる価格は必ずしも同じではありません。
Q. 査定価格より高く売り出すことはできますか?
A. できます。最終的な売出価格を決めるのは売主様です。ただし、相場から大きく離れた価格にすると売却期間が長くなる可能性がありますので、販売戦略を考えたうえで決めることが大切です。
Q. 査定価格より安く売り出すこともありますか?
A. あります。住み替えなどで売却期限が決まっていて早期売却を優先する場合には、購入希望者から見て魅力のある価格設定を検討することもあります。
Q. まだ売るか決めていなくても査定できますか?
A. もちろんです。「今売ったらどのくらいになりそうか知りたい」という段階でも大丈夫です。査定をしたからといって、すぐに売却する必要はありません。
■まとめ
不動産会社に売却査定を依頼すると、会社によって査定価格が違うことがあります。
そのときに大切なのは、
「一番高い査定価格はどこか」だけで判断しないことです。
確認していただきたいのは、
「なぜ、その価格なのか」
という根拠です。
さらに、
「できるだけ早く売りたいのか」
「多少時間がかかっても高く売りたいのか」
によっても、適した売出価格は変わります。
査定価格は、売却価格を決めるための一つの材料です。
周辺の成約事例や現在の競合物件、物件そのものの特徴、そして売主様のご希望を踏まえて売出価格を考えることが大切です。
スマイノコト不動産では、上尾市・桶川市・さいたま市(北区・西区)を中心に、不動産売却のご相談をお受けしています。
「他社で査定してもらったけれど、この価格が妥当なのか分からない」
「高い査定価格を提示されたけれど、本当にその価格で売れるのか聞いてみたい」
というご相談でも大丈夫です。
現在の状況を確認したうえで、査定価格だけではなく、どのような売り方が考えられるのかまでご説明します。
■この記事を書いた人
森戸 義浩(もりと よしひろ)
スマイノコト不動産(スマイノコト株式会社)代表
宅地建物取引士
不動産業界約30年。上尾市・桶川市・さいたま市を中心に、新築住宅の購入サポートや不動産売却を行っています。
購入する方・売却する方、双方の視点を大切にし、物件ごとの状況に合わせたご提案を心がけています。


