相続した家を売却するには?手続きの流れと売る前に確認したいことを宅建士が解説

親から家や土地を相続したものの、

「何から始めればいいの?」
「親名義のままでも売れる?」
「売るか残すか、まだ決められない」

このように悩まれる方は少なくありません。

相続した不動産は、すぐに売る・売らないを決める必要はありません。

まずは、

・誰が相続人なのか
・遺言書はあるのか
・不動産以外にどのような財産や債務があるのか
・登記はどうなっているのか
・その家や土地はいくらくらいなのか

を整理することが大切です。

そのうえで、

「残す」「貸す」「売る」

のどれがご家族に合っているのかを考えていきます。

今回は、不動産業界に30年以上携わってきた経験をもとに、相続した家を売却するときの流れと、売る前に確認しておきたいことを分かりやすく解説します。

■まず確認したい「3つの期限」

相続が発生したら、最初に確認しておきたいのが期限です。

特に覚えておきたいのが、

3か月・10か月・3年

です。

相続不動産についてご案内するときも、まずこの3つの期限を整理しています。

3か月|相続放棄・限定承認

相続放棄や限定承認は、原則として自分のために相続が始まったことを知ったときから3か月以内に手続きをします。

相続するのは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけではありません。

借入金や保証債務などがある場合もあります。

財産や債務の状況が分からない場合は、自己判断で財産を処分せず、早めに弁護士・司法書士などへ相談することをおすすめします。

10か月|相続税の申告・納付

相続税の申告が必要な場合は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付します。

ただし、すべての相続で相続税がかかるわけではありません。

相続税には、

3,000万円+600万円×法定相続人の数

という基礎控除があります。

税額や特例、申告の必要性については、税務署や税理士へ確認しましょう。

3年|相続登記

2024年4月1日から相続登記が義務化されています。

原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

また、2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。

以前から相続したことを知っていた不動産で、まだ相続登記をしていない場合は、原則として2027年3月31日までに登記する必要があります。

2026年9月現在、該当する方は一度登記状況を確認しておきましょう。

■相続したら、まずこの順番で整理します

相続した不動産について相談を受けたとき、私はいきなり、

「売りましょう」

という話から始める必要はないと考えています。

まずは、

① 遺言書を確認する
↓
② 相続人を確認する
↓
③ 財産・債務を確認する
↓
④ 相続方法を考える
↓
⑤ 遺産分割を話し合う
↓
⑥ 登記・申告・売却などを進める

という順番で整理します。

■① 遺言書があるか確認する

まず、亡くなった方が遺言書を残していないか確認します。

自筆証書遺言、公正証書遺言、法務局で保管されている自筆証書遺言などがあり、遺言書の有無や種類によって手続きが変わることがあります。

遺言書が見つかった場合は、自己判断で開封せず、種類や保管方法を確認してから手続きを進めましょう。

■② 誰が相続人なのか確認する

次に、戸籍などを確認して相続人を確定します。

基本的には配偶者は常に相続人となり、それに加えて、

第1順位 子
第2順位 父母などの直系尊属
第3順位 兄弟姉妹

という順位があります。

「家族だから相続人は分かっている」と思っていても、実際の相続手続きでは戸籍をたどって確認します。

■③ 不動産だけでなく財産・債務を確認する

確認するのは不動産だけではありません。

例えば、

・預貯金
・不動産
・株式などの金融資産
・生命保険
・住宅ローン
・カードなどの借入
・未払税金
・連帯保証や事業借入

などがあります。

特に借入や保証の状況が分からない場合は、財産を動かす前に専門家へ確認することが大切です。

■相続した不動産の分け方は1つではありません

相続人が複数いる場合、

「兄弟全員の共有名義にする」

だけが方法ではありません。

代表的には4つあります。

現物分割
1人が不動産を相続し、他の相続人は預貯金など別の財産を相続する方法。

換価分割
不動産を売却して現金化し、その売却代金を相続人で分ける方法。

代償分割
1人が不動産を相続し、その人が他の相続人へ代償金を支払う方法。

共有
複数の相続人で不動産を所有する方法。

共有は一見分かりやすい方法ですが、将来の売却や修繕などで共有者との調整が必要になることがあります。

さらに次の相続が発生すると権利者が増える可能性もあります。

そのため、「とりあえず共有にしておこう」と決める前に、将来のことまで考えておくことが大切です。

■相続した家は「残す・貸す・売る」で考える

相続したからといって、必ず売却する必要はありません。

大きく3つの選択肢があります。

① 残す・使う

自分や家族が住む場合は、

・修繕費
・固定資産税
・名義
・将来誰が引き継ぐのか

などを確認します。

② 貸す

賃貸として活用する場合は、

・リフォームや修繕費
・想定賃料
・空室リスク
・管理費用
・地域の賃貸需要

などを確認します。

③ 売る

売却する場合は、

・現在の市場価格
・売却費用
・税金
・売却時期
・売却代金をどう分けるのか

などを確認します。

大切なのは、最初から売却ありきで考えるのではなく、3つを比較して判断することです。

■売るか迷っている段階でも、価格を知ることはできます

ここは、実際のご相談でも大切なところです。

相続した家について、

「査定をお願いしたら、売らないといけないのでは?」

と思われる方もいらっしゃいます。

そのようなことはありません。

むしろ、

今の状態ならいくらくらいで売れそうなのか

を知ることで、

「この価格なら売却して兄弟で分けよう」

「この金額なら残しておこう」

「貸した場合とも比較してみよう」

など、ご家族で話し合うための材料になります。

査定は、売却を決めた人だけがするものではありません。

売る・貸す・残すを判断するために、まず現在の市場価格を確認するという使い方もできます。

■相続した家を売却する場合の流れ

売却する方向になった場合は、一般的に次のように進めます。

① 現地・権利関係を確認
↓
② 査定を行う
↓
③ 売却方法・売出価格を決める
↓
④ 必要な相続登記を行う
↓
⑤ 販売活動
↓
⑥ 売買契約
↓
⑦ 残代金受領・引渡し
↓
⑧ 必要に応じて確定申告

実際には、相続登記の準備と査定・売却相談を並行して進めることもあります。

ですから、

「相続登記が終わるまで不動産会社に相談できない」

というわけではありません。

相続した家を実際に売却する場合の査定から販売活動、売買契約、引渡しまでの全体像については、

「不動産売却の流れを分かりやすく解説|最初から最後までの全ステップ」で詳しく解説しています。

■相続した家の査定では、価格以外も確認します

相続した家は、長期間空き家になっていることもあります。

査定するときには、

・土地・建物の状態
・境界や越境
・共有者
・抵当権
・未登記部分
・残置物
・測量の必要性
・解体の必要性

なども確認します。

相続した不動産でも、査定価格は土地・建物の状態や周辺の成約事例、現在の競合物件などを確認して算出します。

査定価格がどのように決まるのかについては、

「不動産の査定額ってどう決まる?会社によって違う理由も解説」で詳しく解説しています。

ここで気をつけたいのが、

「古い家だから、先に解体した方がいい」

とは限らないことです。

建物が残っている状態で販売した方がよい場合もあります。

同じように、売却前にリフォームした方がよいとも限りません。

解体やリフォームにお金をかける前に、まず現況のまま査定することをおすすめします。

相続した家を売却する前にリフォームするか迷っている方は、

「家を売る前にリフォームは必要?そのまま売るべきケースを宅建士が解説」も参考にしてください。

■「相続税評価額」と「売れる価格」は違います

相続不動産では、価格についても混同しやすいところがあります。

不動産には、

市場価格
固定資産税評価額
相続税評価額

など、目的によって異なる価格があります。

例えば相続税評価額が3,000万円だったからといって、3,000万円で売れるという意味ではありません。

実際に売却できそうな価格を判断するときは、周辺の成約事例、現在販売されている競合物件、土地の形状や接道、建物の状態などを確認します。

■相続した空き家は、税金の特例を売る前に確認

一定の要件を満たした相続空き家を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。

ただし、

「相続した空き家なら必ず3,000万円控除できる」

わけではありません。

建物や相続の状況、売却時期などさまざまな要件があります。

税金については、売却した後ではなく、売却する前に税務署や税理士へ確認しておくことが重要です。

■相続した家をそのままにしておく場合も管理は続きます

「まだ家族で決められないので、しばらくそのままにしておきたい」

というケースもあります。

すぐに結論を出す必要はありません。

ただし、空き家でも、

・固定資産税などの負担
・庭木や雑草の管理
・建物の劣化
・防犯
・火災や台風などへの対応

は続きます。

「今すぐ売らない」ことと「何もしない」ことは別です。

まず現況と価格を把握してから、今後どうするか考えてもよいと思います。

■相続した空き家の売却相談もお受けしています

スマイノコト不動産では、上尾市・桶川市で相続した空き家の売却など、

相続不動産についても多数ご相談をお受けしています。

相続不動産の相談では、

「いくらで売れるか」

だけを確認するわけではありません。

誰が相続するのか、現在どのような状態なのか、今後利用する予定があるのか、売却するならどのような方法が考えられるのか

などを整理したうえで進めていきます。

相続したばかりで、

「まだ売るかどうかも決まっていない」

という段階でも問題ありません。

「桶川市|相続した空き家を売却されたお客様の声・売却事例」

■スマイノコト不動産では「売る前の相談」からお受けしています

相続不動産について、

「兄弟でまだ話し合っている途中」

「相続登記が終わっていない」

「売るか貸すか迷っている」

「とりあえず今の価格だけ知りたい」

このような段階でもご相談いただけます。

ご相談の際には、分かる範囲で、

・亡くなられた方と相続人の関係
・遺言書の有無
・不動産の所在地・利用状況
・借入や抵当権、共有者の有無
・ご家族の希望

などを確認します。

スマイノコト不動産では、

・不動産の現況確認・価格査定
・残す・貸す・売るの比較
・売却スケジュールと費用の整理
・必要に応じた司法書士・税理士・弁護士との連携

などを行いながら、一緒に整理していきます。

査定をしたからといって、売却を決める必要はありません。

まずは現在の状況と不動産の価格を知り、ご家族にとってどの方法がよいのか考えるところから始めれば大丈夫です。

■よくある質問

Q. 親名義のままでも査定してもらえますか?

はい。相続登記が終わっていない段階でも、査定や売却について相談できます。

まず価格を確認してから、売るかどうかを判断することもできます。

Q. 相続登記をしていなくても売却できますか?

査定や売却相談はできますが、買主へ所有権を移転するためには、必要な相続登記などを行い、売却できる状態にする必要があります。

Q. 兄弟で相続した家でも売却できますか?

可能です。

遺言や遺産分割、現在の登記状況などによって進め方は異なります。

売却して現金化し、売却代金を分ける「換価分割」という方法もあります。

Q. 古い実家は解体してから売った方がいいですか?

必ずしもそうとは限りません。

建物付きのまま販売した方がよい場合もあります。

解体費用や税金などにも関係するため、解体する前に現況で査定することをおすすめします。

Q. 売るかどうか決めていなくても相談できますか?

もちろん大丈夫です。

「まず価格だけ知りたい」という段階でも構いません。

売却を前提にせず、残す・貸す・売るの選択肢を整理するところからご相談いただけます。

■まとめ|相続した家は「売る前の整理」が大切です

相続した家については、いきなり売却を決めるのではなく、

① 期限を確認する
② 遺言書・相続人を確認する
③ 財産・債務を整理する
④ 不動産の分け方を考える
⑤ 残す・貸す・売るを比較する
⑥ 現在の不動産価格を確認する
⑦ 売却する場合は方法とスケジュールを決める

という順番で考えると整理しやすくなります。

スマイノコト不動産では、上尾市・桶川市・さいたま市を中心に、相続した家や土地の査定・売却相談をお受けしています。

「まだ売ると決めていない」
「相続登記が終わっていない」
「兄弟で話し合うために価格を知りたい」

このような段階でも大丈夫です。

相続した不動産が「今いくらくらいなのか」を知ることから始めてみませんか?

売却を前提にせず、現在の状況と不動産の価格を一緒に整理します。

【相続不動産の無料相談・査定はこちら】

■この記事を書いた人

森戸 義浩(もりと よしひろ)
スマイノコト株式会社 代表
宅地建物取引士

不動産業界30年以上。上尾市・桶川市・さいたま市を中心に、不動産売却・住み替え・住宅購入のご相談に対応しています。

査定価格だけをお伝えするのではなく、現在の状況やご希望を確認し、売却方法やスケジュールを整理したうえで、お客様ご自身が納得して判断できるご提案を大切にしています。

森戸 義浩

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